今回は、パワハラに関する記事です。
パワハラに対して、抗えないのは
負けなのか。
サッカーで、アウェイでの引き分けは
勝ちに等しいと言われます。
相手の土俵(ホーム)で、勝ち
切れないことは、負けに等しい。
逆に、相手の思い通りにさせなかった
だけでも、勝ちに等しいという話です。
警備員になる前に、最初に就職した
東京のIT企業でのエピソード。
某大手メーカーの子会社でした。
そこである上司が、僕に攻撃を
仕掛けてきます。目的は僕の排除。
今思えばパワハラです。
有給取得で揉め、業を煮やした
上司は、僕に退職勧奨をしかけて
きます。
ちなみに、退職勧奨は自分がウンと
言わなければ辞める必要はありません。
証拠を取れば、会社都合退職にする
ことも可能でしょう。
辞めますと言わない僕に対して、上司は
波状攻撃を仕掛けてきます。
上司の上司(部長)を使って、さらなる
退職勧奨を仕掛けてきた。それでも僕は
退職を認めない。
職場で僕は四面楚歌になっており、
味方はいませんでした。上司の
ネガキャンが功を奏していたのです。
ボコボコにされた僕はグロッキーで、
相手のパンチがかすっただけでも
ダウンする状態だった。
そんな僕が転職活動を始めた矢先、
長期出張応援の辞令が出たのです。
事実上の異動でした。
出張応援から戻って来ても、元職場には
戻れない。分かり切っていたことです。
これは何を意味するかと言えば、上司の
手で僕を排除する機会を、永遠に失った
ということ。
上司にしてみれば、僕が退職を申し出て
職場から去って行くことが、一番溜飲を
下げるものでしょう。
状況としては、圧倒的に有利だったのに
かかわらず、勝利を得られなかった。
僕からしてみれば、圧倒的なアウェイで
負けなかった。事実上の引き分けでした。
上司にとっては負けに等しい引き分けです。
目的を達成できなかったのですから。
圧倒的に強い相手に引き分けに持ち込む
のも、勝ちに等しい。卑屈にならず胸を
張って行きましょう。
パワハラは仕掛ける側が圧倒的に有利
なのです。指揮命令権の濫用ですからね。
それを以てしても、相手を屈服させられ
なかったという事実は、負けに等しい。
ただやられている渦中にあっては、
そんなことを思う余裕もないでしょう。
そこで、僕が出張応援に行っていた時の
エピソードを紹介します。
理不尽極まる出張応援も、終わりに
近づいた頃、僕は実家に帰省した際に
ある喫茶店に行きました。
大学時代、ランチを食べに行っていた
お店です。
応援先から実家へは、高速バスで帰れる
距離だったので、時々帰省していました。
喫茶店のマスターは初老の女性で、
感じの良い方です。
僕は大学時代いつも頼んでいたパスタを注文し、
食後のコーヒーを飲みながら、応援に至った
経緯を話し始めました。
上司に嫌われ退職勧奨され、畑違いの
半導体工場へ応援に行く余剰人員と
なってしまった。
僕は能力が低いと評価されたからだ。
このままではリストラされる
かもしれない・・・
バブルが弾け氷河期の走りとなっていた
とは言え、20代でこの立場は情けない
ものでした。
しかしマスターは僕を励ますように、
学生時代聞けなかった話をしたのです。
「私も会社を倒産させたことがあるの。人生
悪いことがあった分、いいことがあるものよ」
当時はこんな状況に置かれれば、
先が見えなくなる。いわゆるお先真っ暗に
陥っていたのでしょう。
しかし、後から見れば大したことでは
ないのかも知れない。
マスターの人生を振り返るような言葉に、
僕は上記のように思えて来たのです。
僕が兼務課長に退職勧奨を受け、針のムシロ
状態から、口減らし同然で半導体工場へ行く
直前の出来事を思い出しました。
応援出張に行く前、職場でグループリーダーで
あった先輩社員のメッセージです。以下の通り。
君の掲げた目標に邁進すれば、応援先では評価
されるでしょう。諸輩の先入観のない新天地で
頑張って下さい。
諸輩の先入観・・・グループリーダーも、
会社内での立ち位置は環境、上司次第である事を
うっすら分かっていたと感じました。
話は脱線しましたが、マスターの話を聞くにつれ
底なしの不安が薄らいでいきました。そして
とどめの一言が心に突き刺さったのです。
「他人の評価なんてどうでもいいじゃないの。
その人からお金貰っているわけじゃないでしょう」
ところで皆さんは、同僚が退職する時に
お別れ会を開催するでしょうか?
警備だとシフトの都合上、全員が
参加するのは無理かもしれませんが
組織としてではなく有志として、
お別れ会を企画してくれることの
ありがたさについて語ります。
かつて隊長のパワハラに堪えかねて蹴っ飛ばす
ようにして退職したことがあります。
別の警備会社に行くという、
去られる側にとって屈辱のおまけつきで。
去られる側にとって、面白くない退職に
違いありません。
別の隊員が辞める時は、会社側で
お別れ会を企画していましたが、
僕の時はなし。
所詮、その程度の組織でした。
その辺は分かり切っていたことです。
それでも、ある同僚が有志でお別れ会を
開催したいと言い出しました。
言い出した彼は、言っちゃ悪いが
知能は並み以下で、皆からいじられる
存在。
だからといって、仕事は適当ではなく
警備員としての形を守る最低限のことは
忘れませんでした。
彼の呼びかけで、隊長以外の数人が
集まってくれ、お別れ会は形になった
のです。
仕事としてはミスはあったけど、変な
悪知恵で、トラブルを大きくする隊員
ではありませんでした。
仕事はできないけれど、人間としては
悪くない、そんな隊員です。利害関係が
薄いという背景もあったでしょう。
これが、僕が会社を辞める時に
せめてもの救いになった。
退職は、寿退職(これはもはや死語か)
でもない限り、しこりを残して去って
行きます。円満退職はあり得ません。
それを少しでも緩和するのが、有志の
配慮だったりします。
組織を去っていく時に、周囲の評価が
分かるといいますが、評価は上司だけ
からではない。
横のつながりでどうだったか。仕事人と
してだけでなく、人間としてどう思われて
いたか。
その辺が明らかになるのが、退職と言う
イベントです。
クビ同然で組織を去る事になっても、
有志で、お別れ会を企画してくれたら。
記念品贈呈でもいいと思います。
貴方の仕事だけではなく、人間性も見て
くれていたということなのです。
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