セキュリティ意識の源泉となるもの

警備など、セキュリティの仕事を
やっていて、危機管理意識の源泉となる
ものは何でしょうか。




今回は、セキュリティ意識の源泉は
「想像力」であるというテーマで話を
します。




最初に、僕の体験から。
僕が職業訓練に通っていた時のこと。




訓練校は郊外にあり、電車とバスを
乗り継いでいっていました。




ある日バス停から降りた時、前方から
自転車に乗っている女子高生が急接近。




急ブレーキをかけ、お互い事なきを
得ましたが、その時の女子高生の驚いた
顔が印象に残りました。




というのは、バス停でバスが停車すれば
人が降りてくるという事が想像できる
はずなのです。




僕に驚くことが、想定外のようにされた
ような顔が、印象に残った。今後は気を
つけるようになるでしょう。




このように、想像力は流れの中から
次の展開を予測する力と言い換える
こともできます。




車の運転が上手い人は、4号業務
(身辺警護)もうまいといった声も
あるのです。




ちなみに、車やバイクを運転する時に
近くばかり見ないで、遠くも見る。




そこから逆算して、どういう運転を
するべきか予測できれば、スムーズな
運転になります。




さて、肝心の想像力ですが
何もない所からは、想像力も生まれ
ません。




基本となる知識があって、それを経験で
ブラッシュアップしていくのが王道と
考えます。




警備なら教本や、マニュアルですね。
あと指導する側になった時に留意して
欲しいのが「あるべき形を教える」




施設警備なら、このドアは閉まって
いるのがあるべき形なのか、空いている
のがあるべき形なのか。




閉まっているのがあるべき形なら、
報告は「開錠」ではなく「施錠解除」
と言うべきなのです。




話は脱線しましたが、あるべき形を
知り、それから外れた時どうすべきか。
そんな想像力も鍛えられます。




多くは先輩や同僚からの
体験や失敗談から学ぶことも多い。




警備員で一番大事なのは経験と
言うのが僕の持論です。




知識が、経験に鍛えられ想像力も
向上していく。




想像力は、未知の体験に遭遇した時の
羅針盤になったりします。




まずは基礎知識をしっかりつけること。
それを経験(他人ものも含む)で鍛えて
いくこと。




これがベースとなりますが、もう一つ
あれば強いのが興味を持つこと。探求心
と言い換えてもいい。




ここはこうなっているけれど、あそこは
どうなっているのだろう。施設内クエスト
よろしく、探検に出たくなる。




業務対象外なら、みだりに行くものでは
ありませんが、誰かに聞いてみるという
手もあります。




こうして知識を拡げて行く中で、新しい
発見がある。これも想像力を鍛えるのです。




想像力を鍛え、セキュリティに活かすのは
日常生活にも応用が効きます。




ところで、自分はそんな機会に恵まれ
無かったという人もいるでしょう。




日常生活の中でも、セキュリティ意識の
源泉である、想像力は鍛えられます。




4号業務(身辺警護)のプロが言って
いましたが、5秒先または5m先を
予測する。




これは道を歩いていても、車やバイクを
運転していてもできる事です。




予測→結果→修正のサイクルを経て
想像力は鍛えられます。経験値を積めば
鍛えられるのは警備と同じ。




ただ、警備業に従事しているなら
セキュリティの基礎知識を活かして、
より精度の高い想像力を発揮する。




これぞセキュリティのプロの考えだと、
周りが唸るパフォーマンスを発揮すれば
警備以外に仕事を求めてもいいのでは。




想像力を使って流れの中から
「先を読む力」を発揮するのも、
警備経験者ならではです。




このままいけばどうなるか、これを
読めるようになると、危機を未然に
防ぐことも不可能じゃない。




未然に防ぐのは、危機管理の中でも
最上の価値があります。




五感をフルに使い、知識と経験を
総動員し、想像力を以て行動した結果、
危機を未然に防いだ。




セキュリティの仕事に従事していて、
その真価を発揮するのは、上記のような
シーンです。




想像力を以て、危機を未然に防ぐ。
これこそ、究極のセキュリティです。




但しこの想像力、ある条件がないと
育ちにくい。




貧乏暇なし状態では、生活を良くする
想像力さえ奪ってしまうのです。




健全な想像力は、恒産無くして恒心なし
衣食足りて礼節を知る、の境地で育ちます。




それに留意する労務環境を提供している
使う側は、どれだけいるのでしょうか。




以前知人の勤務する警備現場を訪ね
ましたが、そこで聞いた生の声は
「給料安い、辞めたい辞めたい」




そんな生活で汲々としている環境では、
想像力もまともに育たないでしょう。




貧乏暇なしの環境は、使う側にとって
美味しいから。もはや貧困ビジネスに
近いのかも。




使われる側が想像力をつけることは、
使う側にとって何が都合が悪いのか。




ブラックな環境の外を垣間見て
転職(移籍)されてしまうから。




有為な隊員なら、より良い待遇を求め
業界外転職をされる可能性もある。




想像力を奪い、思考停止に追い込むのが
ブラック企業にとって、美味しいこと
この上ない。




もし貴方がそんな環境で働いて
いるのなら、まずその状況に
気づくこと。




これは変じゃないか、と疑う事が
貴方の人生を変えるきっかけになる。




とは言え、忙し過ぎる日常では
転職活動もままならないのが現実
です。




辞めるとなると、どこの行くの?
と使う側から根掘り葉掘り聞かれ
たり、嫌がらせをされたり。




業界内転職も、意外とハードルが
高い。強引に辞めると禍根になる
可能性があります。




加えて心身に余裕のない状況で転職
するとなると、ブラック企業を
掴まされる可能性も低くない。


そこでリセットを兼ねて、職業訓練に
行く選択肢もあるのです。但し条件が
あるので、事前にハローワークで要確認。




職業訓練は、必ずしも訓練科に関連した
仕事に就く義務はありません。元の仕事に
戻る人もいます。




そこで、業界内転職をするのであっても
半年間の職業訓練に行くことは戦略的に
意義があります。




職業訓練に行って、新たなスキルを
身に着け、別の仕事に就きたいと
思いますと、言って辞める。




半年後、再び警備の仕事についても
ワンクッション置く事になり、角が
立ちにくいというメリットがあります。




このワンクッション、業界内転職を
する際には、有効テクニックです。
半年間あればほとぼりも冷めるか。




忙し過ぎる日常を一旦リセットし
自分を取り戻したうえで、冷静に
判断する。




その手段として、職業訓練は
悪くない。溜めを取り戻すのです。
心身の溜めが一番大事でしょう。




これは警備に限らず、日本人労働者
全てに言えることではないでしょうか。
汲々としたものからは、何も生まれない。

















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