責任を取らない人たち

今野晴貴著「ブラック企業」には
『日本を食いつぶす妖怪』という
サブタイトルがついています。


今回は、ブラック企業の何が一番罪悪
なのか、そしてブラック企業が跋扈する
背景を探り、対策を語ります。


ブラック企業は、短期間で従業員を
壊してでも、収益を上げています。


社会が20年近くの時間と多額の税金を
かけて教育し、親も愛情を注いで育て上げた
人材を一企業が短期間で潰してしまう。


そういう企業には、数年間採用停止や
業務停止など、強烈なペナルティーを
設けるべきではないか。


もっと深刻なのが、使いつぶした人に
かかるコスト国民を転嫁していると
いうこと。


すなわち医療にかかる健康保険や、
働けなくなれば失業給付、ひいては
生活保護。


これらは我々の収めた税金が原資と
なっています。ブラック企業はそれに
フリーライド(ただ乗り)している。


それ故、日本を食いつぶす妖怪と評される。
ブラック企業の一番の罪ですね。もはや
反社会的存在です。


ただ、その背景にある時代の趨勢
(すうせい:流れのこと)も
あるのではないか。


ブラック企業に限ったことでは
ありませんが、責任を取らない人間の
勝ちみたいな風潮はありませんか。


最近SNSなどで話題になっている
「できない病にかかっていない?」


会社から社員に対するお触れ。



人がいないからできない
設備や商品がないからできない
予算がないからできない
時間がないからできない


「どうすればできるのか」それを
考えるのがあなたの仕事!というもの。


それって、経営陣が考える事
じゃないの?で炎上していました。


全部とは言いませんが、現場で末端の
社員が殴り合いの喧嘩をする姿を
ほくそ笑む経営者もいなくはない。


警備員時代、そういった経営者が
思い当たります。サイコパスに
近いかも知れませんね。


この責任を取らない人間が勝つ構図は、
今に始まったものではないと思います。
昔からそういう人がいた。


それを詳らかにしたのが、ブラック企業。
ブラック企業問題と言っていい。


従来の終身雇用・年功賃金制度は
企業が雇った人の人生を丸抱えにする
制度でした。メンバーシップ型雇用。


その代わり、どんな厳しい命令でも聞けと
セット。日本の指揮命令権は世界一厳しい。
いわゆるアメとムチ。


ブラック企業はアメである、終身雇用・
年功賃金の部分がしぼみ、ムチである
指揮命令権が異常に肥大したもの。


社員を短期間で使いつぶそうが、
収益さえあげればいい。資本主義の
欠点である個人のエゴが暴走している。


使いつぶした従業員に後始末を、国民に
転嫁すれば、収益を上げることができる。


この状況、18世紀のイギリスと似ていて
労働法が整備される背景となりましたが、
日本も蟹工船の時代から変わっていないのか。


さて、そんな世知辛い世の中で
生き抜くにはどうすればいいのか。


月並みですが、知識をつけることと
信頼できる相談者を持つことです。


知識とは、労働法に対する知識。
失業時にも役に立ちます。


ブラック企業は理不尽な事を
平気で押し付けてきます。
これに気づけるかどうか。


ブラック企業でなくても、
労働法に疎い経営者もいたりします。


ブラック企業は過労やストレスで
従業員の思考力を奪うのがお家芸です。


理不尽なことを理不尽と思わせない。
そうなる前に、知識で武装する。


おかしいことは、おかしいと気づく。
しかしそれだけでは、声を上げるには
至りません。


そうでなくても、使いつぶすために
知恵を巡らすのがブラック企業。
そこで、協力者が必要になってきます。


労働者側で団結するのがベスト。



一般的には労働組合の力を借りることに
なりますが、組合自体無かったり御用組合で
あったりすることも少なくない。


1人でも入れる社外ユニオンもあるので、
検討しましょう。労働法に詳しい助太刀が
必要です。


ブラック企業は特にそうですが
個人vs組織で戦うのは厳しい。
そこで、組織vs組織に持って行く。


そうやって責任を取らせるように
持って行く。DV対策と同じです。


その際留意したいのが、証拠を残すこと。



上司の暴言を録音したり、
サビ残対策にパソコンのログイン
ログオフ画面の撮影だったり。


最近は、残レコアプリなるものも
出ています。


手書きのメモでも有効だそうです。
但し、どんな業務をやったか内容の
わかるものであること。


要するに、必要な業務遂行のために
残業したという証拠メモ。


この証拠を残すというスキル、
今後は社会人サバイバル
必須科目になると見ています。


責任を取らない奴らが美味しい
想いをする社会だから、責任を
取らせるようにする。


使われる側が賢くなれば、
ブラック企業も減っていくでしょう。


ブラック企業にとって美味しいのは、
指揮命令に従順な人間。


理不尽な命令でも聞き入れ、それが法に
触れていても遂行してくれる。


会社の命令でやっても、罰せられる
のは末端の従業員だったりします。


使う側にとって、従業員が
賢くなってもらっては困るのです。


昭和時代までは、それでもうまく
回っていましたが、今はもう令和。


昭和時代がお目こぼしでも、令和なら
犯罪になっていることも少なくない。
特にハラスメント関係はそうですね。


労働者が知識を付け、賢くなるのは
企業側が、違法な指揮命令権の発動を
防止するため。


さらに言うと年功賃金・終身雇用が
終わりならば、指揮命令権に対しても
制限を設けるべきなのです。


ちなみに、パワハラもそうですが
ハラスメントの多くは、
指揮命令権の乱用。


従来のメンバーシップ型雇用が原因と
いうことで、ジョブ型雇用への転換も
言われていますが、ここでは語りません。


これはおかしい、違法ではないか。
そんな声をあげられる環境整備が
急務でしょう。


もちろん雇い入れる際に、労働契約書や
労働条件通知書にて規定しますが、
ざっとしたもの。A4一枚が相場か。


第一使う側が本気になれば、そんな契約
いくらでも好きにできるのです。
労使は対等なんて、建前に過ぎません。


かくいう自分も、入社一か月経って
から労働契約書を差し替えされたことが
あります。


有給が使えるのが入社してから
3か月⇒6か月に変更された改悪でした。


当時の上司曰く、ウチの会社もざっと
しているなぁと、呑気なセリフを吐いて
いましたが、ブラックの始まりでした。


責任を取らない奴らに対して証拠を
集め、専門家を間に立てて強制的に
責任を取らせる。


労働者側にとってこれが一般的に
なっていけば、ブラック企業も
駆逐されていくことでしょう。

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