知人との与太話で、転職の話になると
今のままでいいじゃないか、という
声も聞こえます。
今回は転職を含めここ一番で勝負するには、
心身の健康が最も大事である、という話を
します。
世界的投資家である
ウオーレン・バフェット氏の金言から。
以下引用します。
『あなたが車を一台持っていて、
一生その車にしか乗れないとしよう。
当然あなたはその車を大切に扱うだろう。
必要以上にオイルを交換したり、慎重な
運転を心がけたりするはずだ。
ここで考えて欲しいのは、あなたが
一生に一つの心と一つの体しか持てないと
いうことだ。常に心身を鍛練しなさい。
決して心身の手入れを怠らないように
しなさい。
じっくり時間をかければ、あなたは
自らの心を強化することができる。
人間の主要資産が自分自身だとすれば、
必要なのは心身の維持と強化だ。』
引用を終わります。一生に一つの心
と一つの体しか持てない。この現実が
刺さりましたね。
自分の体と心は、乗り換えられない1台
の車なのだ。
翻って、今の仕事は今後十何年も続ける
価値があるのだろうか。
もし続ける価値があっても、現在の
コンディションのままパフォーマンスを
発揮し続けられるだろうか。
僕が転職する原動力となったのは、
上記の理由が大。それと、警備時代の
同僚が、潰された現実を見たから。
かつては労基法を蔑ろにした勤務で、
さらに別の現場の応援を要請される。
警備時代よくあった光景です。
急に会社から電話がかかって来て
「人がいないんだ・・・」
「今回は手伝ってくれないか」
特に交通誘導の繁忙期は人さえ埋めれば
いい、という配置になったりします。
無理な応援要請を安易に受けていると、
この人に頼めば何とかなるという
属性ができて、便利屋よろしく要請が。
かといって、全く応じないのも
別のリスクが生じます。こいつは
応援に行かないから、気に食わない。
旧態依然とした組織では、愛社精神が
ないと言われるかもしれない。
その延長上に、人事権を発動され
干されたり、不本意な異動を
命じられたりするのです。
現場単位で団結して応援を拒否し、
人事権の発動を抑える技を使う隊員も
いたようです。労働組合でなくても。
この施設隊員は、応援要請に応じない
という、上司のボヤキを聞いたことも
あります。
人員以上の仕事を受ける労務管理も問題
ですが、隊員側も上手く対処しないと、
無理をしたツケで将来のリスクを抱えます。
というのも、潰されてしまっては元も子も
ないからです。バフェット氏の言にならう
なら、無理な運転を続け故障してしまう。
そうなってしまっても、使う側は責任を
取りません。法に触れていても、証明して
争うには、コストがかかります。
生活のために、無理な応援でも
受けなければならないのは、貴方個人の
責任ではないのです。
第一、無理をしてまで応援に
行かなければならない給与体系は、
貧困ビジネスに近いのではないか。
今の仕事で人生を終わりたくなければ、
新天地を目指す車の性能も発揮しないと
いけない。
そのためのメンテナンスも、転職戦略の
一環なのです。あまりに理不尽な労務管理
なら、転職も視野に入れましょう。
それも難しい環境であるならば、半年間の
職業訓練という選択もあります。
車は8分の力で、メンテナンスをしながら
運用するのが、一番長く持ちます。
今の環境は、それを許すものでしょうか。
悲しいかな、今の日本では長期休暇で
ゆっくりメンテナンスを行うのは、
不可能に近い。
働かされる仕組みだからです。
それも表立った強制ではなく、
しないと不利なる仕組み。
それでも金融資産を基に労働を卒業する
FIREなる生き方も出ている。
個人的に、警備をする上での健康管理で
一番留意して欲しいのが「睡眠」です。
夜勤や、24時間拘束の当務で
仮眠時間はあっても、疲れが溜まり
すぎていないか。
ベッドがしょぼかったり、同僚のイビキ
で眠れなかったり。そんな環境では
疲れは溜まっていきます。
夜勤や当務のない現場に異動するか、
別の仕事に転職するか。
自分の健康を守るための転職もあって
いい。いずれにせよ、余裕のある状態で
行いたいものです。
自分の車がガタガタでは、
知らない道を走るのは、おぼつかないし
パフォーマンスもいまいちでしょう。
個人的には、転職するなら一か月の
就労しないブランクがあっていい。
前職の疲れを癒し、忙しすぎて
できなかった事をやり、新天地へ向かう
準備をする。
そんな環境がスタンダードで整うような
環境になれば、もっと働きやすくなるの
ではないでしょうか。
貴方の乗る、たった1台の車は5年後、
いや10年後も今のコンディションで
走り続けてくれるのでしょうか?
エントロピーの法則というものが
あります。エントロピーとはざっくり
いうと「ざわつき」
歳を取るほどエントロピーが増えて
行くにも関わらず、体力は落ちていく。
すなわち、車の性能自体は下降線なのに
走る道は、過酷になっていく。
僕の警備時代がまさにそうでした。
転職して、僕は一兵卒でいいと
希望したものですが
何処に行っても同じ扱いをされる。
一兵卒でいる事は許されない。
これは、業界ならではの事情もあったの
です。警備業界は人が足りない。
もっと言えば、有為な隊員が足りない。
そこへ、検定資格と経験を持った隊員が
転職で外からやって来た。
指導教育責任者の資格を取らせ、
現場責任者に据えよう。当時僕は
40代半ば。あと20年は使える。
使う側からしてみれば、最小限の
コストで、安く人を使える。
その為にとった戦略は、徹底的な
捕縛でした。頻繁な異動や資格取得の
勉強で、個人の時間を奪う。
加えてお前はもう警備員しかできない、
それならば、黙って会社の言う事を聞けば
将来は幹部にしてやる。
それは「疑似餌」であることに、僕は
すぐ気づきました。これまでの経験から
推測したわけです。
もう、警備業界という道はこの車では
走れない。そう悟った僕は、走る道を
変えるべく異業同職の転職を目指した。
車への負担は増えるのに、より良い
燃料やオイル(いわゆる待遇)が用意
されないのです。
それでも大きな故障をせずに、何とか
走り切ることが出来たかもしれません。
年金まで持てば、ということですね。
ただその時、侘しい想いをしないか。
警備だけで終わる人生で良しとするのか。
良しとしなければ、僕の通った道を
行くのも悪くない。自己責任ですが。
自分の人生がどうありたいか。警備で
終わる人生でいいのか。
最終的にはこの問いに対して
どうするかが、転職するかどうかの
分水嶺です。
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