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今回は先入観、特にマイナスの思い込み
に発生する、デメリットについて語ります。
警備でもそうですが、隊員が実際に
働くまで、事前に情報が入ることも
少なくありません。
こいつはどんな現場でこうだった、とか
どんなミスやトラブルを起こしてきたか。
責任者にとって、部下を選べないのは
相当なストレスなのです。
こいつは仕事のできない、使えない奴だ
という情報があったとしましょう。
それを鵜呑みにして、マイナスの面ばかり
見てしまうとどうなるか。
事前情報通りのパフォーマンスになって
しまうと思いませんか?
実際使ってみて、どうにもならない隊員は
確かに存在します。警備隊で言うところの
お荷物的存在です。
しかし使う前から、個人の思い込みで
使えないと決めつけるのはいかがなものか。
大人のいじめに近いと思いませんか。
私が最後に勤めた地場中小警備会社D社で、
どうにも使えない隊員がいました。
彼は警備隊ではポン吉と呼ばれており、
やることがトンチンカン。小さなトラブル
の種になる事が多かった。
だけれどもルーチンワークはそれなりに
こなしているので、会社は放置して
いました。
そこへ転職してきたかつての同僚が、
ポン吉は使えないと大騒ぎ。どこの
警備会社にも話を大きくする人はいる。
そこで当時、別現場にいた私に話が来て
異動になったのです。
異動になった半年後、僕はD社を辞め
警備業界を脱出します。
僕の後釜にはポン吉を戻すとの話を聞き、
同僚は怒り狂いますが、覆りません。
最適解は、ポン吉を使い続けるしか
なかった。会社の人事方針ですね。
当初僕が聞いていたほど、使えない隊員
ではなかったようです。
それを針小棒大に言う、いわゆる大人の
いじめのような組織の傾向があったの
はないか。
もう一つ例を挙げれば、かつて勤めた
全国規模のビル管理会社のB社で
同じような隊員がいました。
隊長らはシフトを入れ替え当務から外し、
日勤のみとしました。その理由は夜間
勤務時にトラブルを起こしては困るから。
日給月給制なので、当務がなくなり
日勤のみとなると、給与は減ります。
これも変な話で、夜間時はトラブルが起きる
事は少ないものです。責任者が対処すれば
よい。
要するに、こいつは気に入らないから
日勤だけにして、給与を減らせ。
これも大人のイジメに近い。
本当に使えない、行く先の現場でトラブル
ばかり起こしているなら、会社は干すはず。
警備ならそうします。
上記2件とも、当該隊員は警備会社交代まで
居続けたようです。
両方に共通するのは、欠点ばかり見て
針小棒大に言う隊員が存在したこと。
先入観のなせる技でしょう。
一度付いた印象や評価を覆すのは至難の技。
もしあなたが、そういう立場になっていたら
環境を変える方がいいかもしれません。
事前情報のフィルターを通して人を見て
しまうと、間違いを起こす可能性がある。
私は今、委託警備業者を監督する立場に
いますが、入札で業者が変わりました。
前業者より、総合力で劣ります。
業務の経験値も足りません。
だからといって、使えないとレッテルを
貼ったらどうなるか。
使えないというパフォーマンスになる
可能性大です。実務的な指導を続ける
必要はあります。
人間というものは、自分の見たい
景色しか見ないという習性があり
ほらやっぱりそうだ、という結果が
欲しい。思い通りの結果が欲しいの
です。
これを防ぐためにも、総合力では
劣るけれど、前業者より
勝る部分もある。そう考えます。
何事もそうですが、ある情報に対して
必ずしもそうとばかりはいえないのでは
ないか、という捉え方。
人のやることに100%はありえません。
正解はなく、最適解があるだけ。
職場の構成員の意識のベクトル次第で、
職場の運命は決まると言っても過言では
ありません。
警備隊で問題を起こせば、臨時入札で
業者ごと変えられる、なんてことも
ありえるのです。
少なくとも自分の偏った思い込みで、
警備隊の運命を変な方向へ持っていって
しまうのは、避けたいですね。
このような偏った思い込みは誰しも
あることで、バイアスと言いますが
人事権を持つ立場なら、最低限に
したいもの。
誰の目から見ても、使えないなら
組織から排除するのもやぶさかでは
ありませんが
そこまでいかないレベルで、むしろ
権力闘争の一環として、排除工作を
行ったらどうなるか。
ぶっちゃけ、禍根が残ります。
こいついなくなってセイセイしたと
思っていたら、もっと変な奴が来た。
よくあるパターンです。
排除工作とまではいかなくても、
自分ができないと思った部下だけ
過剰に詰めて
別のたいしてレベルの差がない部下に
お目こぼしするといった、対応の
温度差、もっといえば差別は
職場の空気をどんどん悪くします。
職場は誰が辞めたかより、誰が残って
いるかで、そのレベルが透けて見える。
組織の体質相応の人間を、引き寄せて
しまうものです。
もし貴方が、上司のバイアスの被害に
あっているなら、環境を変えるのも
悪くありません
部署異動もそうですが、私は業界を
変える試みをしました。
最初に勤めた大手電機メーカーの
子会社。IT関係でした。
そこでは使えないというレッテルを
貼られ、リストラ同然で辞めましたが
それについては、弁明する余地はない。
単に向いていなかったのでしょう。
地元にUターンして、仕方なく就いた
警備の仕事。そこで180°評価は
変わりました。
最初に勤めた地場中小警備会社、
A社をやめようとしたら
オーナー社長が「辞めないでくれ」
次の仕事の話が来ていたので、丁重に
お断りしましたが、これで前職で失った
自己肯定感を回復できたのです。
活躍の場を与えてもらったという、
背景もありましたが、警備の水が
合っていた(当時)という要因も。
加えて専務が「縁があったら戻って
来てくださいね」と言ってくれた。
社交辞令であっても、働いた人間を
尊重するスタンスは、素晴らしい。
専務は、今社長になっています。
私も足らないところは多くあったけど
いい面を評価してくれた。変な話、
プラスのバイアスでしょう。
極端な話、仕事上のパフォーマンス
よりも、上司との相性が評価を
左右する。これも現実です。
最後に話は転職にそれますが、
転職は自分のやりたい仕事に就くと
いうよりも
より良い縁を得に行くもの。さらに
言えば、中年以降は自分の居場所を
見つけるためなのです。![]()


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