転職の際、面接で必ず志望動機を
聞かれます。テンプレ的な回答は
あるのですが
究極的には、人生をより良くする
ためではないでしょうか。
ただこれ、面接でストレートに言うと
いささか問題ありでしょう。
そこで、自分の理性を納得させた上で
上手に建前を運用することはできないか。
面接する側も分かり切っています。
警備からの転職はまさにそうで、
僕もその路線でやってきました。
中年になり、これといったスキルや
人脈もない。ヘッドハンティングなど
夢のまた夢。
そうであっても、高望みしなければ
粘り強く捜せば、時間はかかっても
新天地にたどり着ける。
何を以て、人生をより良くしたいのか。
深掘りしていきます。
給料が安いのが嫌なら、もう少し
時給単価の高い、異業同職の転職を
する。
社会的ステータスの低さが嫌なら、
非正規であっても、名の知れた
企業で働く。
拘束時間の長さが嫌なら、当務のない
労務管理をする職場を目指す。これは
業界内転職でもできそうです。
人間関係が嫌なら、もう少し民度の
高い、職場を目指す。組織の規模と
民度にはある程度、相関性があります。
ここまで書いてきて、中年以降の転職は
何が一番大事なのか。
過去記事でも書きましたが、自分の
居場所を見つける、ということ。
転職は一発で上手くいくことは稀です。
上手くいっていないと思うなら、まだ
道半ばということ。
うまくいっていないなら、うまくいく
まで続ければいい。
自分の話になり恐縮ですが、今僕が
転職するなら、どう志望動機を言うか。
50代後半になり、選択肢も限られて
きます。
それでも、人生最後のキャリアチェンジ
(マイナーチェンジ)をしたかったから。
そう言うでしょう。全く違う仕事は無理。
60代になると、さらに選択肢は狭まる。
体力も落ちてきて、現職の勤務に対応する
のが難しくなるかもしれない。
あと10年、働ける環境を捜している。
そんなところでしょう。年金がどうなるか
わかりませんが。
人生をより良くしようという志は、
転職に限らず生産的なものです。
嫌な奴から逃れ、心身の健康を保つ
転職だってあっていい。変則勤務が
嫌だから、辞めるのもあっていい。
面接で言う必要はありませんが。
建前を上手く運用しましょう。
中年以降は、健康に勝る財産はない
のです。それを脅かす要因を排除する
のも、人生をより良くする。
ただし、上記を実行する際に
2点留意して欲しいことがあります。
一つは、セルフセーフティーネットの
構築。上手くいかなかった時の
保険のようなもの。
ある程度の貯金が貴方を守ります。
お金がなくなると、人間の知能は
下がり、まともな判断ができない。
ブラック企業に嵌ってしまうのは、
こんな状態の時である事が多い。
もう一つは、プランBを用意しておく。
転職に失敗したらどうするか。
僕が勧めている職業訓練が
そうです。
失業給付を受けながら、仕事を捜す。
条件はハローワークで要確認。
人生をより良くするからといって、
背水の陣はNGです。少しずつ良く
するのに、リスクが大きすぎます。
うまくいかなかったら、こうする。
これを決めておくだけでも、気持ちは
軽くなるもの。
それ以外には、これまでの仕事で
培った人脈を活用することです。
警備時代の人脈であっても、別の
仕事をしている人もいます。
周囲に敵ばかり作って来た人は、
苦しくなるでしょう。
マインドセットとしては、決して
キレないこと。
キレるというのはどういうことかと
言えば、俺は運が悪いんだと思う事。
運が悪いと思うと、本当にそうなり
ます。どうせ思うなら悪運が強い
くらいに思った方がいい。
転職は、人生をより良くするために
するもの。究極的にはそうなるでしょう。
給料が安いとか、こいつが嫌だからとか
そんなことを改善するためであっても、
最後はそこに行きつくことがゴールです。
ところで、転職は人生をより良くするためと
言いましたが、何が貴方の幸福度に大きく
関わってくるかを突き詰める必要があります。
産廃業者から、警備員に転職した人が
いましたが、転職の原動力となったのは
平日にパチンコに行きたい。
彼にとって、平日にパチンコに行ける
労務環境が、幸福度を上げる№1だった。
どんな仕事とかいう内容は二の次。
妥協はあっても、警備員をやっている
人は自由が欲しいのではないか。
自由とは、従来の終身雇用・年功賃金と
セットになった、世界一厳しい指揮命令権
からの自由。
もっと言えば、警備の仕事にはノルマも
納期もなく、それに追われることからの
自由だったりします。
さらに解像度を上げると、警備の仕事は
1回1回完結する仕事です。交通誘導
警備は、特にそう。
工事が続いても、今日のところはここまで。
施設警備も、引継ぎはあっても大した事は
ありません。
引継ぎノートか、ベテランに聞けばいい。
そんな環境に足を踏み入れ、自由に魅了され
だけれども警備から転職したい。
それならば、同じく自由を得られる環境に
身を置けばよい。自由とは従来の企業に
あった、指揮命令権からの自由。
但し待遇は妥協することになるでしょう。
一般的には自由と収入はトレードオフです。
転職で収入UPしても、ストレスまでUPして
健康を損ね、幸福度が下がれば逆効果。
それならば、収入はほぼ同じでも
労働時間を減らす試みが幸福度を上げる
かもしれません。
自由な時間が増えれば、前出の警備員の
ようにパチンコに行ったり、副業など
新たな生き方の実験ができる。
中年以降の大きなリスクは、選択肢が
乏しいということ。貧乏暇なしという
お金も時間もない状態も大きなリスク。
副業でなくても、付き合いや人脈を
拡げたり、投資や起業の準備をする
ことも可能です。
このように、時間をゲットする転職は
収入UPを凌駕(超える)する効果がある。
と同時に自分の居場所を見つける。
我々労働者は、自分の時間を切り売り
して、給与を得ています。人生の切り売り
といってもいいでしょう。
中年になり、人生の時間も限られている
ことを悟ったとき、収入はある程度妥協して
でも、健康と時間の貴重さに気づきます。
人生の最後で、高級車や高級時計といった
物欲を果たせなかったことを後悔する人は
少ないそうです。
その代わり、こんな経験をすればよかったと
後悔する。モノより経験ですね。
自分が本当にやりたかったことは何なのか。
幸福度を上げるライフスタイルは何なのか。
これらを吟味し、実現できる環境を選ぶのが
人生をより良くする転職に違いありません。
転職は何のためにするもの?

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